Drinking Essence
「ちょ…っと、何するんですか!」
不意に壁に押しつけられゲイナーは声を上げた。
腕を押さえつけるゲインの手は、白い肌のゲイナーとは違って、
異国の濃い色をしている。逞しい体と、経験が裏打ちする強さ。
ゲイナーは戦っている時のゲインを、少なからず意識していた。
不意に現れたゲインを部屋に入れるとすぐ、ゲインは少し乱暴に
ゲイナーを抱きしめてきた。
「ん、」
答えずにゲインが唇を合わせてきた。必死で抵抗する。
「…ゲインさん、やめ、」
唇が離れたと思ったらまた塞がれる。顎を取られ、
身動きできずにいるうちに、心地よさに心の掛け金が一つ一つ外されて、
抵抗するのを忘れてしまう。
気が付くと唇をこじ開けられ、ゲインの舌が口腔に入り込んでいた。
うっとりしかけていると、不意に唇が離れ、
次の瞬間には舌を焼くような感覚のする液体が
喉の奥に流れ落ちていった。
「何ですか…やっ」
聞こうとしてすぐに、ゲインの手が上着の下に潜り込んできた。
直に触れてくるゲインの手の平が熱い。
ゲイナーはぎゅっと目を瞑って、身を堅くした。
必死で顔を背けてキスから自由になる。
ゲインは無理に引き止めなかった。
「もう、何飲ませたんです!」
ゲイナーは服の上から、蠢いているゲインの手を押さえた。
「気持ち良くないのか?」
ゲインは答えず、見当違いなことを聞いてくる。
怒りだけでなく、体をまさぐられた恥ずかしさもあって、
ゲイナーの顔はみるみる赤くなった。
「今、ちょっとだけ俺に体を預けてくれただろう?」
ゲインがそう言ってにやりと笑う。服の下でゲインの指が乳首を撫でた。
「あァ」
ゲイナーは甘ったるい声を無意識に口にしてかばうように
前かがみになった。ゲインの指がまだ撫でている。
ゲイナーは息を荒くした。
「…触らないで…下さい」
ゲインを睨み、逃げるように部屋を出ようとすると、
腕を強く掴まれて引き止められた。
「ちょっと人肌恋しくなってな…相手になってくれ、ゲイナー君」
「嫌です!」
即答したのにゲインは無視する。
抱きしめられ、ゲインの胸に頬を押しつけられる。
広い肩幅、厚い胸板は、ゲイナーが持ち得ない大人の男のもので、
ゲイナーは意味もなく照れて、頬が熱くなるのを感じた。
「ゲインさ…」
ゲイナーは両手をゲインの胸板に押し付けて体を放そうとした。
しかしゲインの体はびくともしない。
「放してください!」
「嫌だ」
「嫌だって何なんですか! 放して下さいっ!」
拳で胸を叩く。完全に遊ばれている。
「かわいいな。顔が真っ赤だ」
ゲインが覗き込む。
「じゃあ、こうすればいいのかな?」
ゲイナーの頭を撫でる。
「やめて下さい…っ」
ゲイナーはゲインの手を払いのけた。涙ぐんだゲイナーを見て、
ゲインは微笑む。手を服の中に潜り込ませ、ゲイナーの背筋を辿った。
「うあっ」
身を反らせると、ゲイナーは自らゲインに体を
押しつけるような状態になった。
乳首を弄られたり、背筋をなぞられたり、ゲイナーの弱い所ばかり
触れてくる。
「感度いいな、お前。楽しめそうだ」
ゲインが言った。不意にゲイナーの股間を掴む。
「…やっ、やめろ、やめろよ!」
強く握られて、ゲイナーは腰砕けになり、その場に座り込んだ。
「嫌だ」
押し倒され、力ずくで、暴れるゲイナーの動きが封じられた。
手首をまとめて、片手で拘束される。
叫び声を封じるかのように、もう一度唇を奪われる。
ゲインの舌が潜り込んできて、思うように叫べない。
股間を刺激する動きはやがて移動して、ズボンの腹のあたりでゴソゴソ
やっていた。ジーっと音がしてジッパーが下ろされる。
ゲイナーの体が跳ねた。
「大丈夫さ。もう泣いてるのか?」
ゲインが唇を離して笑った。目尻にうっすらと溜まった
ゲイナーの涙を指で掬う。
「からかうのはやめてくださいっ…付き合いきれませんよ…っ」
息を荒くしてゲイナーが言った。体が震えている。
「いや、真面目なんだが、いつになったら本気にしてくれるんだ?」
ゲイナーが潤んだ目でゲインを凝視する。
「本気って…困るんですけど」
ゲイナーは目を伏せて視線を逸らした。
その表情が、ゲインにはひどく好ましいものに映った。
脈ありだな。
ゲインは心の奥でほくそえんだ。
「…っじゃなくて、放してください!」
思い出したようにゲイナーは暴れた。戒められていた手を解放されて、
起き上がろうとする。
「ゲイナー、手荒な真似はしたくないんだ」
ゲインは言った。目を細める。
「気持ち良くしてやるよ、ゲイナー…じゃあ、
好きな女の子にどうしてあげたらいいのか教えてやろう」
「!」
ゲイナーはゲインの思った通りに反応した。
「経験豊富な俺が直に教えてやるんだから。…一度くらい
いいだろ?」
「…」
ゲイナーはゲインに組み敷かれたまま考えていた。
大体、今の状態で、無理矢理犯そうと思えば出来るのだ。
ゲイナーは主導権が既にゲインにあることをわかっていない。
相手に選ばせるように見せかけて
事を運ぶのはゲインのお得意だった。
「…先に教えて下さい」
ちょっとは頭を使ったらしいな。ゲインは思った。
「それは無理だ」
「どうしてですか?」
「これからやることがそれだからな」
「え…、え、そんな、」
ゲイナーはサラのことでも思い浮かべたのか頬を赤くした。
「不満なのか? 体験コースだぞ、ゲイナー」
追討ちをかけるようにゲインは言った。
「不満は…ないですけど…何か、話がおかしくありませんか…」
「考えるな。経験が全てだ、少年」
ゲインはうやむやにしてゲイナーに覆い被さった。
「ん、…ん」
上着を胸まで押し上げて、乳首を舐める。
ゲインが触れるたび敏感に反応するようになる。
ゲイナーの体が快感で麻痺し、コントロールが利かなくなっていくのが、
見て取れた。
「ゲインさん…っ」
ゲインはゲイナーの手を取り、優しくキスした。怖がらせないように
注意深く体を愛撫する。正直な所、とっくにゲイナーは
体験コースのことなど忘れているだろう。
ゲインはゲイナーの服を全て剥ぎ取った。
そっとゲイナーの下腹部に手を伸ばす。
下りていく手の動きを感知しながらもゲイナーは頬を赤くして
じっとしていた。
「アア…ッ」
小さく悲鳴を上げてゲイナーは身を強ばらせた。
「ほとんど触れてもいないのに」
ゲインは含み笑いを漏らすと、今度は容赦なくゲイナーの立ち上がった
ものを大きな手で包み込んだ。やんわりと力を入れて、
ゲイナーの表情を確かめる。ゲイナーは涙を溜めて目を伏せていた。
「そんなに恥ずかしがらなくったって」
ゲインはからかうようにそう言うと、手を上下させ始める。
「あ、あああっ」
ゲイナーは声を上げた。どくんと脈打って、中心に
熱が集まり、感覚が集中する。
「ゲインさん…」
縋るようにゲインを見た。
「俺じゃ駄目なのか? 自分でやるかい?」
ゲイナーは首を振った。不安げにゲインに手を伸ばす。
いいぞ、ゲイナー・・・。
ゲインはゲイナーに悟られないよう、含み笑いをした。
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ごめんなさい。土下座。