罪 (ワンピ ゾロ×サンジ)
本当はタバコの匂いを嗅ぐと、少し朦朧とする。
ゾロは、俺の口からタバコを奪って一口吸った。
白い煙を吐き出しながら、床に押し付ける。
焦げる匂い。嫌いじゃない。
でもウソップが見つけたらまた怒られる。
タバコを吸い始めたのは大人に見られたかったからで、
好きなわけじゃなかった。
それでも体は味を占めて、今じゃ完全にニコチン中毒。
物思いに耽る時、熱い自分を抑えたい時、
理由はいくつでも見つかるが、とにかく手放せない。
逃げ場を無くすように壁に追いつめて、ゾロは俺を見ていた。
ゾロの手に包まれた俺の手は、何だか悲しくなるほど頼りなく、
床に押さえつけられている。
ゾロの下半身が熱くなっているのがわかる。
奴の体は本人が思っているほど、精神的、禁欲的ではない。
「いつまで睨めっこしてんだ」
腹立たしくて言ってやった。ゾロの熱い手から逃げた。
新しいタバコを取ろうとして、ポケットに手を入れた。
手を捕らえられ、床に引き倒された。口を塞がれる。
奴がタバコを口にすると、いつもとは違うキスになる。
この苦みと、くすぶったような香りは、罪の味だ。
いつもは好きなはずの奴の匂いにむせて、
意味もなく邪険にしたり、激しく運動した後に、
互いに冷めて背中を向けて寝てしまうこともある。
俺たちはいつも期待しすぎて、しかも期待には応えない。
後悔とか、罪悪感とか、手放さずに悪戯を試す。
偽の戯れにも、快感という真実があることを、もう俺たちは知っている。
「何笑ってんだ」
ゾロが眉を寄せる。
罪深い関係を、俺はちょっとだけ気に入っている。
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