二人と一匹 [3] (ワンピース パラレル ゾロ ナミ サンジ)

「てめえ、起きやがれ!」
男の怒鳴り声と頬に入った一発で、唐突に起こされた。
どこだかわからなくて辺りを見回す。
退廃的なナミの部屋。ベリー色の壁紙に、黒いカーテン。 黒い薔薇の紋章が天井の周囲をぐるりと囲み、アクセントになっている。
カーテンが開けられて眩しい。サンジは自分が素っ裸だったことを 思い出して、手錠を繋がれたままで毛布を引き寄せた。
昨夜、ナミの部屋に行って、服を脱がされて、手錠をかけられて、 壁の真鍮の飾りにリードを繋がれ、目隠しされた。
目隠しがはずされたら、ナミは黒いベビードール姿で、 もうどうしようかと思ったら、『ペット用』だという 心地よい肌触りの毛布とマットを貰った。 おやすみサンジくん、と微笑んで、ナミは自分の天蓋付きベッドに 潜り込んだ。
拍子抜けした。リードは計算されていて、ナミのベッドには届かない。 存在を強調するソレを宥めながら、 ベッドの傍にマットを敷いて、毛布をかぶった。
同じ部屋で寝た。何もなかった。

「てめえ誰だ!」
男は眉間に皺を寄せて怒鳴った。
ナミが起き上がった。
「やめて、サンジくんに乱暴しないで、ゾロ!」
ナミはゾロと呼ばれた男を手で制して、サンジを守った。
「こいつは何モンだ!」
「お、俺、コックです、昨日、や、雇われ…」
もう一度殴られないうちに、サンジは自分から名乗った。
すぐに口の中に鉄錆の味が広がった。 吐き出したら、赤い血が体に散った。
「キャー!」
ナミが悲鳴を上げてゾロを叩く。
「何てことするのよ! 馬鹿!」
「てめえが節操ねえからだろ! いい加減にペットごっこはやめろ!」
ゾロがナミを怒鳴りつける。
「す、すいません、俺、ちゃんと断るべきでした」
サンジは必死で頭を下げた。
「これ、はずしてください、すぐ消えますから。お願いします」
「嫌よ、腕のいいコックなのよサンジくんは! ゾロのせいで 出てったら、一生口聞いてあげないからね!」
ナミが仁王立ちした。
ゾロが困った顔をした。頬が赤くなる。
「早く着替えろ! てめえもだ!」
ゾロは怒鳴った。ベッドサイドチェストの上の鍵を取ると、 手荒にサンジのリードと手錠を外した。 強引にサンジの腕を取って、引きずりながら、ナミの部屋を出る。
ひどくしないで!とナミの声が追ってくる。
ゾロがバタンと音を立ててドアを閉めた。廊下に投げ出された。
「おかしなことやったら、ただじゃおかねえからな」
すごまれてサンジは縮み上がった。
「ビビりやがって、」
ゾロは笑うと、サンジのペニスを弾いた。
「口見せろ」
サンジは顎をつかまれて引き上げられ、体を起こした。
「あ」
ゾロの舌がベロリとサンジの口元を舐めて、口の中へ進入してきた。
舌が口腔を蠢く。おかしな気分になった。ヤバすぎた。
「ん、」
傷口を舐められてサンジが震えると口を離す。
コイツ…!
ナミさんどころじゃない。
サンジは頭へと上昇しつづける血流を呪った。顔から火が出そうだった。 ファーストキス。悲しくて本当に泣けそうだった。
「お前…まさかファーストキスもまだの童貞かよ」
ゾロがあっちを向いた。笑った気がした。ムッとした。
「口開けろ、」
腹は立っていたが、恐かったので言われた通りにした。ゾロが覗き込む。
「殴られる時は口は開けねえもんだ、」
ゾロが言う。
「お、俺、寝てたんすけど…」
恐る恐る言って口をつぐんだ。まだ血が止まらない。
「舐めときゃ治る、」
ゾロは言ってサンジの腹に落ちた血を舐め取った。
サンジが思わず声を上げたら、ゾロはニヤリと笑った。




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