二人と一匹 [5] (ワンピース パラレル ゾロ ナミ サンジ)
ゾロは昼過ぎまでナミといちゃついて、帰っていった。
三十分後にナミもウィンドーショッピングに出かけて行った。
サンジは賞味期限ギリギリのパンでサンドイッチを作り、
ラップで包んだ。
リストアップした買い出しのメモを持って、部屋を出た。
エレベーターを出ると、ギンが詰め所でヤバい目をしていた。
「あの、」
声をかけたらギンが無言で睨んだ。
「これ、食えよ」
恐いので、サンドイッチだけカウンターに置いてすぐにホールを出てきた。
背中にギンの視線を感じた。
あれは栄養失調の顔つきだ。ちゃんと働いてるのに食えてねえなんて、
何か事情があるんだろう。
食ってくれるといいな。で、もう少し恐くなくなるといい。
全部自分の為だった。サンジは鼻歌を歌った。
ぶらぶら歩いてスーパーへ行き、
夕食に間に合うように配達を頼んだ。
ナミから先払いで貰った金で、タバコを調達した。
サンジがマンションへ入ってくると、すぐ、ギンが立ち上がった。
二つ目のドアを暗証番号で入る。
「おい、あんた!」
「ん?」
「名前…な、何てんだ?」
ギンは少し頬を赤らめて聞いた。
「サンジだ」
「サンジさん、…すごくうまかったよ」
ギンはサンジの白い手を突然両手で握ってきた。頭を下げて、
顔を上げた時、頬に涙が流れていた。
「俺みたいなただの警備員に、あんな心配りしてくれた奴はいねえ」
ギンが鼻を啜った。
「ナミさんとこのコックさんなんだってな」
「おう」
「余計なお世話かもしれねえが、あんたはいい人みたいだから、教えておく。
ナミさん所のコックは、皆いつのまにかいなくなっちまう…。
理由はわかんねえが、不審な失踪の仕方ばかりなんだ。
気を付けた方がいいぜ、サンジさん…」
「…」
サンジは真顔でギンを見つめた。すぐに笑いが込み上げてきた。
ペットごっこに呆れて夜逃げしたんだろ、そりゃあ。
「まあ、俺は大丈夫だぜ。こう見えてジジィ直伝のケリが
あるからな。自分の身も、ナミさんも守れる。何が起きても対処出来る」
「…。ヤバかったら、逃げるんだぜ、サンジさん。
俺はいつもここにいるから」
少し沈黙して、ギンが遠慮がちに言った。
「ありがとよ、ギン。また残りもんが出たら差し入れるから、
楽しみにしとけ!」
サンジはギンに手を挙げて、エレベーターに乗った。
名前を呼ばれてギンが赤くなった。
ナミは夕方帰ってきた。両手にたくさんの紙袋を持っていた。
リビングに袋の中身を広げ始める。
「ナミさん、午後のお茶でもどうです?」
「あら気がきくわね、サンジくん」
ナミが紅茶の香りに目を細めた。一口飲んで置く。
添えたクッキーを齧ってサンジに微笑みかけた。至福だった。
ナミは座って、とソファを指した。サンジは斜め前に座った。
新作のドレスやカジュアルラインのシャツを
体に当ててみせ、いちいちサンジに賞賛を求めた。
「わあーやっぱりいい色!」
買ったばかりのマニキュアを塗って、桜色になった爪をサンジに見せる。
「かわいいです、ナミさん!」
「今夜サンジくんの足をかわいくしてあげるわ」
「は、はいぃ!」
サンジはハアハアしながら、キッチンに入った。
ナミと過ごせるなら何でも良かった。ギンが心配そうに見つめていたけれど、
そのことは軽く流してしまった。
お風呂に入れてあげるわ。
サンジがキッチンの片付けを済ませて、一服し終えた頃、
ナミが来て微笑んだ。
ナミの部屋へ入り、そのまま奥のシャワー室へ入った。
白地にベビーピンクのタイルが帯になっている。
タイルには部屋の天井と同じ
黒い薔薇の紋章が刻んであった。
白いバスタブに、金の飾りのついたシャワー。
サンジの部屋の方は普通の
ユニットバスだった。ここはナミ専用ということらしい。
「サンジくんは犬なのよ。一人じゃ何も出来ないの。
私が脱がせてあげる」
ナミはフリルがついた黒いワンピースを来ていた。
開いた胸元にクロスのネックレス。いい匂いがしていた。
ドキドキしながらサンジはネクタイを取ってもらい、
上着を脱がしてもらい、ベルトを抜かれて、シャツを脱がされ、
どんどん身軽になっていった。
ナミは恥ずかしがる様子もなくトランクスも下ろした。
サンジは緊張した。
「来て、サンジくん」
サンジは泡で一杯のバスタブの中に座った。泡風呂なんて始めてだった。
女の子のメルヘンに付き合うのも結構楽しい、なんて思っていた。
「サンジくんは素直ね。面白いわ」
ナミは床にペタンと座り込み、
スポンジに泡を含ませてサンジの首筋を撫でる。
「判断力が鈍ってるんです、ナミさんが優しいから」
「うまいわね、サンジくん」
ナミの瞳がネコのように光って、すぐにサンジの体に視線を移した。
気まぐれな感じで素敵だ。
ナミは泡で見えないサンジの胸へと
スポンジを滑らせてきた。変な気分だった。
「くすぐったい?」
ナミは泡の中に手を突っ込んで、スポンジを動かした。
サンジは笑顔を作りながら、大事な所を必死でかばった。
しばらくそうやって遊んだ後、ナミはバスタブの栓を抜いた。
ゴボゴボと音がして、サンジの体に乗った泡だけが残った。
サンジの腕を覆った泡をナミの指が取り除いた。
「泡の間から肌が見えるのってエッチよね」
「そ、そうですね」
ナミが意味深に笑って、サンジの背後に移動した。
「ナ、ナミさん…」
不穏な感じがしてサンジが振り向いた。ナミの手の平が滑らかに
胸元の泡を取り除く。いやらしい動きだった。
中心が危ないことになりかけていた。
思わず鼻にかかった声を上げてしまった。ナミが満足したように笑った。
「もういいわ」
「うわ、」
ナミにシャワーを浴びせかけられて、サンジはすぐにそこをかばった。
形がバレてしまう。
耳元に熱いシャワーをかけられるとサンジは震え上がった。
「感じるのね」
ナミがふーっと息を吹きかけてきた。理性がもう、吹っ飛ぶ。
サンジは震えた。
カチャリ、と金属の音がして、サンジは首の違和感に
顎を引いた。
「サンジくん専用のリードよ」
ナミは言いながら、引き紐を引っ張った。
「あの、ナミさん、」
「立って。お尻の泡を落とさなきゃ」
サンジは立ち上がった。
「ナミさん」
「サンジくん用のアクセサリーを買ってきたの、つけてあげる!」
ナミは目を輝かせて言った。
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